オーボエ奏者・藤井貴宏 オフィシャルブログ Grüß Gott aus Bayern!

音楽&ビールの街・ドイツはミュンヘンから、再びバイエルンの田舎にお引っ越し♪自然の中で生活しながら音楽や日々の話題を中心に掲載中です☆

12月8日に想う

お陰様で日本での2ヶ月近い滞在がほぼ予定通りに終えることが出来、先週ドイツに戻ってきました。お世話になった皆様、演奏会にお越しくださった皆様他、関係してくださった方全てに感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。

 


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(東京佼成ウインドオーケストラ創立60周年記念ツアー、新潟公演より:りゅーとぴあ)

 

 

コロナは依然とおさまる気配もなく、ドイツも多分に漏れず、1月半ばまで演奏会は禁止の他、厳しい措置が敷かれています。こればかりはどうする事もできませんから、とにかく人との接触を避け感染拡大を予防するとともに、自分の力を貯めることに注力したいと思っています。みなさまもどうぞお身体に気をつけてお過ごしください。

 


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(今朝の我が家からの朝焼け)

 

 

さて、題名にある通り今日は12月8日は1941年にハワイで真珠湾攻撃があった日であり、日本がアメリカに戦争を仕掛けたその日から79年目にあたります。先ずは犠牲になられたアメリカ、日本すべての方に哀悼の意を捧げるとともに、戦争が再び繰り返されないことを強く願います。

 

日本にとって8月6日や8日は誰もが忘れ難い辛い日であります。しかしアメリカにとっても12月8日は同じような日。戦争は加害者よりも被害者になった時の事のほうが強く記憶に残ると言われる通り、日本人(私も含め)にとって12月8日は8月の悲劇に比べれば大きく取り上げられず、また気に留めていない感は拭えないと思います。しかし、今日こそ「反省」をしなくてはならない日だと思うのです。今日を境に太平洋戦争が始まり、その後の1945年8月の悲劇に向かったことは間違いのない事実であります。

 

このことを想ったのにはきっかけがあります。自分の身近にいる小さな子が、今も他国が関係し内戦が続く中東に近い国から難民として家族でドイツに戦火を逃れ住んでいます。しかし、今彼女の両親は今後について大きく揺れているのです。ドイツに残り仕事をしていこうと思う父、両親がいる祖国に帰りたい母。しかし子供には選択する権利がない、親に従うしかありません。今は結論が出ていません。私の子供もよく知った子なので、子供なりに複雑な気持ちを抱いているようです。戦争というものがこれ程身近に感じることはイスラエルを訪れたとき以外はなかなか無かったのが正直なところで、戦争が引き起こす第二、第三の被害を目の当たりにしています。

 

「平日、学校に行けずに大きな袋を担いで毎日歩きたくない。戦争のあるところに帰りたくない。」

 

彼女の一言です。

 

それに対して、

 

「何故、その子の国で戦争があるの?」

 

我が子のこの問に答えるのは容易なことではありません。第一次世界大戦から続く世界の流れを知る必要がありました。夕方から口頭での説明に始まり、当時の映像や解説動画など、約一時間に渡って二人で勉強。8歳の子供には少々難しい歴史の成り立ちです。しかし、同じ8歳の子が世界の紛争地域で今正に戦火に怯える状況にあるのも事実、それ故、子供に伝えないわけにはいかないと思い二人で勉強をしました。

 

偶然にも今日が12月8日という日本人にとってはあまりに大切な日。そんな日に我が子と戦争について考えられたのは本当に貴重なことだなと思えてなりません。

 


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(羽田からヘルシンキの機内:日本海からロシアへ)

 

 

何かをすることではなく「何かを考えること」、誰にでも出来るし大事なことです。

 

よく戦火や政治的に大変な元にある人のことを「国力や民度の違いだ」と言い切る人がいますが、それは余りに短絡的な考えに思えて仕方がありません。近くにいるこの知り合いの子供を目の前にしてそう想うことは到底出来ないのです。インターネットが広まり情報が直ぐに手に入る世の中。しかし何事も想像力は大切。全ては想像することから始まるのだと強く思う12月8日です。

 


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(実家の近く、小布施の秋空)