オーボエ奏者・藤井貴宏 オフィシャルブログ Grüß Gott aus Bayern!

音楽&ビールの街・ドイツはミュンヘンから、再びバイエルンの田舎にお引っ越し♪自然の中で生活しながら音楽や日々の話題を中心に掲載中です☆

今を生きる ~Klassische Philharmonie Kansai 第2回特別演奏会~

随分とご無沙汰してしまいました。気が付けば2023年も二か月が過ぎ3月。とはいえ、今年に入ってからは充実の毎日を過ごすことができて時間をしっかり味わいながら過ごすことができています。ありがたいことです。

年明け早々、日本で指揮&ソリストを務めさせていただく演奏会がありました。2019年12月、コロナ前に共演させていただいたブレスシンフォニーオーケストラ(大阪)さんとの演奏会。このオーケストラは大阪フィルハーモニー交響楽団のヴァイオリン奏者であられた近藤緑先生の呼びかけで出来たオーケストラで、メンバーの皆さんが意欲的な素晴らしいオーケストラです。今回はオーケストラ側からの希望でハイドンオーボエ協奏曲、ベートーヴェン交響曲第8番、そしてモーツァルト交響曲第40番、私のリクエストでアンコールにモーツァルトの歌劇「ドンジョバンニ」から序曲をご一緒させていただきました。

 

 

特にベートヴェンの交響曲第8番は想い出の曲でして、私が兵庫芸術文化センター管弦楽団に所属していた2008年、アンサンブルウィーン=ベルリンがゲストでオーケストラの中で一緒に演奏するプロジェクトの時のこと、当然メンバーの皆さんがゲストトップとしてソロパートを全曲演奏するわけですが、初日の練習後、そう、オーボエはその後お世話になることになるシェレンベルガー師が一言「タカヒロ、7番の交響曲は私がソロを吹くが、後の8番とトリプルコンチェルトは君が一番オーボエを吹きなさい」と言われ「いやいや、これはこういうプロジェクトな・・・」と言いかけると、「マエストロに行ってくるから待ってて」とこちらの話は聞く耳なし(笑)その後「OKを取り付けたから、そういうことで!」とあっさり決まり。そして本番の日、その日は私の誕生日だったのですが、ヨーロッパでは誕生日は特別な日、何か嫌な予感がしてサプライズをしかけられるか??いや、そんなことは・・・でも心配で早めに開館の9:00にステージへ・・・すると師匠が既にステージにいるではありませんか!開口一番「おはよう!お誕生日おめでとう!プレゼントは何が良いかな・・・リードを上げようか。そうだ、リハーサルをした後、本番まで時間があるからレッスンをしよう!」ととんでもない提案。リードだけで十分(笑)とも言えず、ただでさえ緊張しているのにレッスンとは・・・リハを済ませ一緒にご飯を食べ、燕尾服に着替えて「さぁ、モーツァルトからきかせてもらおうか」と本当にレッスン開始、その後シュトラウスも聞いていただき、気づけば開演10分前。何とも言えない緊張感のまま、師匠にセカンドを吹いていただいたのが第8番の交響曲でした(その時があったから今ドイツに居られるわけです)。

とにかく明るく、そして茶目っ気と熱っぷりが半端ないこの曲、今回は指揮をする立場から改めて勉強してみると、その構造にびっくり、特に4楽章は自分が演奏するときには気づいていなかった計算された構築がなされていることにいまさらながら理解をし、今回はそれオーケストラの皆さんと共有させていただきました。少ない練習時間でも真摯にこちらの意図をくみ取り音にしてくださったことは感謝に堪えません。ハイドンも含め、オーケストラの皆さんと「音楽をする」ことができた時間だったと思います、お客様の拍手のタイミングも「満足してくださったのかも!」とステージ上の皆が感じる素敵なものでした。オーボエを吹くことは勿論ですが、指揮というものは音楽をされる方にも何かを大きく伝えることができるので、これも魅力的なものだなと改めて感じたのでした。オーケストラの皆さん、そして聞きに来てくださった皆さん、本当にありがとうございました!また皆さんと共演できることを願っております。


さて、オーケストラの共演と言えば、今月25日(土)の16:00から、伝統と格式のある大阪いずみホールにて「Klassische Philharmonie Kansai第2回特別演奏会」があります。

 

 

このオーケストラは「奏者が楽しみ、そしてお客様と楽しみ」という理念のもと、ブレスシンフォニーオーケストラでお世話になった近藤みどり先生、そして相愛大学、フィルハーモニアコレギウムOSAKAのコンサートミストレスとして活躍されておられる森田玲子先生がその考えに賛同してくださり、その趣旨に共感いただいた素晴らしい皆さんが関西はもとより、横浜、名古屋、山口、松山などからも集まってくださって結成された出来立てほやほやのオーケストラです。出来立てですが、去年の発足当初から既に素晴らしい音、そして熱量向上心を兼ね備えており、第一回の演奏会は当初の「奏者が楽しむ」ということは120パーセント達成した素晴らしいものでした。今回は「奏者とお客様が共に楽しみ感動できる」演奏会を目指し、さらなるレベルアップと音楽表現をすべく、バロックから近代オペラまでの作品を取り上げます。なんと演奏会時間は3時間!!!せっかくの素晴らしいいずみホール、堪能しない手はありません(笑)

 

 

素晴らしいトランペット奏者3人が揃い、森田先生の専門ともされるバロックから「G線上のアリア」が有名なバッハ作曲の”管弦楽組曲第3番”。そして弦楽器のみなさんと改めて名曲を見つめなおそうということで、リハーサルも盛り上がっているモーツァルト作曲”アイネ・クライネ・ナハトムジーク”。このオーケストラならではだと思いますが「どうしても演奏したいんです!」とメンバーから熱くお願いされた室内楽曲の最高峰のモーツァルト作曲の”グラン・パルティータ”、この曲では私もオーボエ奏者として共演します。続いて”オペラ「蝶々夫人」”からのハイライト、メインはメンデルゾーンの”交響曲イタリア”という、これでもか!と言わんばかりの豪華プログラム、これこそアマチュアオーケストラ演奏会の醍醐味ではないでしょうか。そしてテーマはモーツァルトが生涯あこがれを抱き続け、バッハもメンデルスゾーンも同じだった「イタリア」。

そんなイタリアから今回のソリストとして私の友人(というには恐縮ですが・・・でも仲良し!)であるソプラノの佐藤康子さんをパルマからお招きして、イタリアでも認められた「蝶々夫人」のハイライトを共演いただきます。お客様は勿論ですが、私も含めたオーケストラに新たなインスピレーションと刺激を与えていただくべく、私がお願いをして今回共演が実現、蝶々夫人を知り尽くした佐藤さん(大学院の卒論はなんと蝶々夫人!その論文を読ませていましたが、巷では知られていないことが沢山!素晴らしいの一言です)の、彼女だからこそ知りえる蝶々さんの「心」をお聞きいただきます。先月には彼女がお住いのパルマまでお邪魔してお話しと打ち合わせを兼ねたリハーサルをしてきましたが、皆さんに感動いただけるのは間違いありません!

 

 

私が皆さんと「今」表現できる最高の舞台を作りたいと思っています。お忙しいかと思いますが、是非ともお近くの方、そして遠方の方も観光を兼ねて人間が作り出す「生の芸術」を体験しにご来場いただければ嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します!
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