オーボエ奏者・藤井貴宏 オフィシャルブログ Grüß Gott aus Bayern!

音楽&ビールの街・ドイツはミュンヘンから、再びバイエルンの田舎にお引っ越し♪自然の中で生活しながら音楽や日々の話題を中心に掲載中です☆

シェレンベルガー

皆様!
大変にご無沙汰しいております!!!!!
藤井は生きております、心配していただいた皆様、申し訳なかったです。
前回の5月初旬の更新後、怒涛の生活を送っておりました。
まずはオーディションの挑戦、結果からいうとどこも最後までには残ることができず、まだポジションを得ることは出来ていません。しかし、本当に多くのことを学び、また実力ではどうすることもできないような問題もたくさんあることにも気付いた日々でした。もちろん自分のコンディションの調整や本番での良し悪しはあります、しかし、たとえば「オーディションの曲を知らされている人といない人がいた」とか「カーテン審査なのに、オーボエセクションからこちらが見えてる」とか「うちのオーケストラは○○のメーカーの楽器の音がいいんだよね」などなど、これらはどうすることもできないことであります。つまり「同じ土俵で真っ当に勝負できる機会は思いのほか少ない」ということです。それはそう、やっぱりヨーロッパですから自国の人を取りたい、次にヨーロッパの人を取りたい・・・そんな順番でいくと自分のように「ドイツで勉強していない」となると余計不利ではあります。でも、これはあまりマイナスにはとらないようにしています、何故かってこういったイレギュラーな形でドイツにいるのにこれだけたくさんのオーケストラから招待を4か月のうちにいただいたんです、チャンスをいただいているわけです。主なところでバイエルン州立歌劇場、ワイマール歌劇場、ブラウンシュバイヒ歌劇場、オーケストラ・ボン、モーツアルテウム管弦楽団、ベルリンドイツ交響楽団、ケルン放送交響楽団チューリヒ歌劇場etc。うん、そんなに一発で入れるわけないオーケストラばかり(+、+)それでもこちら特有の「ペース」も慣れようやくまともに受けられるようになってきました。とにかくみな「精神力が強い」ということは言えます。どんなに緊張していても見せず、笑って話「じゃぁ行ってきます」みたいな感じで試験、「これをこうして用意して・・・」みたいに緊張している人の方が極端に少ない、これはなかなかいきなりは出来るものではありません。そんなところを始め、「特有」の雰囲気に馴染め始めたこの4か月というのが実感です。しかしちょっと限界だったのか6月の半ば、シェフのレッスン中に突然激しいめまいと耳が聞こえずらくなり「突発性難聴」を引き起こしてしまいました。。。自分でもびっくりしましたが疲れやストレスでいつでもなるようです。ということでこの2週間は静養しております。

そして、

昨日、ミュンヘン市内のど真ん中に引っ越しをしたのです!はい、ミュンヘン市民です(笑)
今までのザハランクとは全く違う「都会」の生活のスタートです!

もうご存知のかたはたくさんいるかと思うのですが、引っ越しをしたので「種あかし」をしたいと思います。

このブログの中でよく出る「シェフ」というのは誰かということ。

それはハンスイョルク シェレンベルガー


去年の3月からドイツに移ったのは元ベルリンフィルハーモニー管弦楽団ソロオーボエ奏者で、今でも世界で活躍の「ハンスイョルクシェレンベルガー」のお招きで、師のご自宅に住まわせていただきそこで研鑽を積んでいたのです。もちろん最初は耳を疑うようなお誘いでとまどいましたが「遠慮する必要はない、自分は個人で師を弟子をもう取るつもりはないから時間も多少はあるし、レッスンもできる、そんなにドイツでやってみたいなら家にきたらどうだ」という強いありがたすぎるお言葉をいただき、言われたその日にドイツ行きを決断しました。
おととしHPACでのアンサンブル=ウィーンベルリンとの合同オーケストラの際、初日の練習後イョルクから「よかったら後半のベートベンのトリプルコンチェルトとシンフォニーの8番は1stを吹かないか?2nd吹くから」という恐ろしい提案が現実になり、私1st、イョルク2ndそしてホルン等の楽器はみなベルリンフィルウィーンフィルの首席、なんていうすごいシチュエーションでの演奏会でした。その時はただただ感動、、、今やオーケストラでは吹くことのないイョルクのベートベンの7番を毎日横で聞き、あのソロオーボエ奏者の素晴らしいサポートの2ndで自分が1stで吹けるだなんて「世界で一人???」なんて大げさにびっくりした4日間、でもそこで頑張ったことが彼の中では本当に印象的だったとのこと。本番の前には「じゃぁレッスンしようか」と突然言われモーツァルトシュトラウスのコンチェルトを2時間レッスン、きついけど幸せすぎるご褒美をいただきました。

そして2009年3月、本当に彼の家での生活が始まったのです。
最初はただただ感動の毎日。しかし人生+−は皆平等で大変なことも本当にたくさんありました。精神的に追い詰めすぎたり、極度の緊張から体調を崩すなど、今までには経験したことのないようなことがたくさん。その反面、彼からは本当に良い「音楽仲間」ということでお付き合いさせてもらい、彼の人生での出来事をいつも聞かせてもらったり音楽に対する気持ち、時間や体の使い方など、とてもとても文章には出来ない大量な宝物をいただきました。

とはいえ、ずっとお世話になり続けるのは自分にとって果たして良いことなのか、ということをこの半年考え続けました。「自分はどんな音楽をするのか、そして彼から学ぶものをどう自分にミックスさせていくか」。そばに居れることは本当に素晴らしいしこんなこと二度とないけれども、自分も30歳になり「自分」を固めるときがきたなと思ったのです。「オーディションで受かるにはどうすればいいのか」こんなことをたくさん考えた時期もあります、けれどもそれより重要なのは音楽家として「自分をいかにプレゼンテーションできるか」が大事なわけで、それはイョルク自身がいつも言っていたことでした。イョルクの培ってきた「こうあるべき音楽」という伝統を学ばなくてはならないわけで、イョルクに「オーディションを受かるためにどうすればいいのか」を学ぶわけではないのです。そして「どうしたら受かるか」悩ませるなんていうのは(実際に悩んでいたとのこと)彼からしか学ぶものも学べなくなってしまいます。彼が知っている「音楽の神髄」を学ばなくてはならない、改めて思いなおしたのです。
ドイツにきて1年ちょっと、シェレンベルガー家のおかげで本当にたくさんのことを学び、音楽以外のこともたくさん、ドイツに交じることができました。

そして今、「自分」を作るためにミュンヘンに引っ越してきたわけです。

そしてこのお家、イョルクが大学生の時にミュンヘン音楽大学へ通うのに住んでた家で、彼がわざわざこの場所(立地としてはあり得ないくらい便利!!!)を交渉、提供してくれたのです。「もちろんこれからもレッスンしたり演奏会したりしよう、というかいつでもザハランクに来い」と一昨日、ザハランクを後にするついでにイョルクをミュンヘン空港まで送った時に言われました。

なんてありがたいのでしょうか・・・
自分でもよくわかりませんが
とにかく
彼の「音楽の神髄」というものを伝承しなくてはならないということは思っています。
オーディションに受かることはもちろん大事、でも「魂を売ってはいけない」というのが自分の持論でもあり彼の意見でもあります。勇気は必要です、でもこんな素晴らしい「チャレンジ」誰でも出来ることではありません!!!

これからわたくしがどうなっていくか、皆様楽しみに見守っていただければと思います!

今週末は再びイョルクとモーツァルトの2重奏を演奏します。

そして来週、日本に戻ります。
私のホームページ、何も更新していなくて申し訳ない。。。。
更新プログラムを日本においてきてしまいました・・・帰ったらすぐ更新しますので演奏会チェックぜひしてください!!!

ということで、今後とも藤井貴宏をどうぞよろしくお願いいたします(^^)

藤井貴



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