オーボエ奏者・藤井貴宏 オフィシャルブログ Grüß Gott aus Bayern!

音楽&ビールの街・ドイツはミュンヘンから、再びバイエルンの田舎にお引っ越し♪自然の中で生活しながら音楽や日々の話題を中心に掲載中です☆

日本の夏

9月に入りましたね!皆様お元気でお過ごしでしょうか。

題名にある「日本の夏」、今年はとても充実していた為にブログやフェイスブックを更新する余裕もなく過ごしていました。コロナの3回の夏を考えたら本当に嬉しいことで、お世話になった皆様には心より感謝申し上げます。自分の振り返りの為に少し記事にしてみたいと思います。

 

空き時間に立ち寄った長野県飯山市の北竜湖。

毎年7,8月は中学や高校吹奏楽の夏のコンクールに向けて、若者の皆さんと勉強しています。今年は久々に思いっきり皆さんが頑張っている姿を見ることができました。楽器を楽しく演奏することは勿論、一人では体験できない悩みや矛盾を抱えながら、数分間の演奏の為に何時間もかけて練習を重ねていきます。なぜ?と思う瞬間もきっとあるでしょう。そもそも音楽をすること自体、生命を維持していくには必要のないことかもしれませんが、その過程に「なぜ生きるのか」「共存とは」という根本的な問いに対する一つの答えがある気がします。コンクールですから良い結果の学校もあればそうでない学校もあります。結果は欲しい、当然ですよね。でも相手がいるから結果があるわけで、結果だけで全てを判断するのも違うと思うわけです。それぞれの夏を是非とも今後に活かしていってほしいと強く願っています!私が関わらせていただいた全ての学校の全ての生徒の皆さんが素敵で、夏のうちに表情がみるみる変わっていった一人一人のお顔が浮かんでくるのは嬉しいことです。また近いうちに再会できることを信じて、陰ながら皆さんの今後を応援していきたいと思います。

 

ある高校の3年生の皆さんと。素敵すぎる3年生にしびれました!みんなありがとう!

 

そんな教え子ちゃん、いったい何人いるのかわからないくらい、本当に沢山の方に対して「偉そうだったな・・・。もっとうまく言えなかったかな」とか反省するようなことを数知れずお話ししてきていて、まぁそれは恥ずかしい部分もあるのですが・・・。

この夏も早朝ある商店街を歩いていると「あ!藤井先生!」と自転車で急ブレーキをかける女性の方が!20年前近くに教えていた中学生のママさん!!!お姿変わらず腰が抜けましたが、こうしてお声をかけてくださることが嬉しくて、いやはや、教え子ちゃんのみならず保護者の皆さんにも支えていただき私が存在しています。皆様に心から感謝です!

16年ぶりに行ったオーボエ合宿の会場、長野県戸隠にある鏡池


教え子ちゃんの中でも強烈な印象残したあるフルート少女。今や一児の母、そして縁があるのか私の生まれ故郷の鎌倉に住処を構えて生活しているのだからびっくり!そんな彼女が「先生、会いたいです!」と度々メッセージをくれるのですから、嬉しいではないですか。コロナでなかなか会えなかった彼女と凡そ4年ぶりに鎌倉で再会しました。

彼女の生い立ちはとても複雑で、出会った高校生の時はお世辞にも「素敵!」という雰囲気ではなくて、どこか影を背負っていて素直でないというか・・・。でもそんな彼女に粘り強く接した結果、とんでもなく上手になり卒業するころには素晴らしい奏者になっていました。「一生の恩人です、死ぬまでついていきますから!」と事あるごとに言ってくれるのも嬉しいもので、自分が存在していてよかったなぁ、と感じる瞬間です。

8月のある晴れた暑い日、そんな彼女が私の祖父のお墓参りに車を出してくれるというのです。15年近くお参りに行けていなかったのでいつも気がかかりだったのですが、なかなか遠いところにあることもあり、ついつい後回しにしていた自分がいました。お墓までたどり着けたときの安堵感、そして「私の恩人なんです、これからもお墓参り来させてくださいね!」と手を合わせてくださる教え子ちゃんに感動せずにはいられませんでした。

残った時間で「したことが無いことをしましょう!」という彼女の提案で建長寺の隣にある点心庵さんへ。ここはけんちん汁の語源ともいわれる建長寺の「けんちょうじ汁」のレシピを再現したけんちん汁を出してくださるお店。建長寺汁を待つ間、お勧めいただいた同じ店内にある座禅のお部屋が素敵なこと。蚊取り線香の香りと共に日本の良き空間を感じることができました。

そして出てきたセットがこちら!!見た目も感動、そしてお味が想像をあるかに越える「うま味」の凝縮。「おいしい」という言葉では表現できない、素朴でありながら奥深い文化を感じるお味でした。お近くへお越しの際は是非是非お立ち寄りください!

約20年ぶりの建長寺へのお参り。境内に進むと猛暑が嘘のようにすーっと涼しい風が。ヨーロッパの教会もそうですが、こういった場所は言葉に表すことはできない「何か」をいつも感じます。心静かにお参りさせていただきました。

そして教え子ちゃん、「先生!写経しましょう!1時間コース!」というからびっくり。おこちゃまのお迎えまで1時間30分しかないというのにこの一言。「今日という先生と一緒の日を最大限使わないともったいないですから!」と。ということで初めての写経をしました。筆ペンが割れていて&薄かったのでちょっと気になって集中しきれなかったのが残念ではあったのですが、なんとも不思議なすがすがしい気分になったのは間違いなく、出てくる感じにいちいち「あー」とか「んー」とか色々なことを感じながら書き進めました。新しい体験、素晴らしかったです!Yちゃん本当にありがとう!教え子ちゃんから教わることも沢山あるので嬉しいことこの上ありません。

教えること、勿論音楽ができるように上手になるように一緒に勉強するのですが、教え子ちゃんそれぞれに与える影響は計り知れないくらい大きい可能性があるわけで、とても意義のあることだなと改めて感じる夏でした。

夏の続きを是非書きたいと思いつつ、今はイタリアに来ています。少しだけ様子を載せておきたいと思います。続きは次回に!