オーボエ奏者・藤井貴宏 オフィシャルブログ Grüß Gott aus Bayern!

音楽&ビールの街・ドイツはミュンヘンから、再びバイエルンの田舎にお引っ越し♪自然の中で生活しながら音楽や日々の話題を中心に掲載中です☆

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今日から4月。新元号も発表され、時代が動くのだなと実感します。来る新しい時代が平和であることを心から願うばかりです。

数日前、長野のホテル仙壽閣でのロビーコンサートがあったのですが、こちらのホテルは次の天皇になられる皇太子様ご一家が長野で休暇を取られる際に必ず立ち寄られ食事を召し上がる場所としても有名です。外国人に人気のある温泉に入るお猿さん、スノーモンキーが見られる地獄谷のすぐ近くの宿とあってこの日もお客様の半分は外国からいらっしゃっていました。この演奏会の前日に、丁度皇太子ご一過はこちらでお食事をされ、天皇になられる前の最後の休暇を近くで過ごされていました。





翌日は小布施町でのリサイタル。学生時代から通算したら何回目になるのか、この場所は私にとってある意味演奏をする原点のような場所。今回もバドさんのご厚意で演奏会が実現し、満員のお客様にご来場いただきました。私にとって、衝撃を受けるほどに音楽性を持ち合わせるマティアスファイト氏に再びご一緒していただきました。お客様にはお喜びいただけたようで、ホッとすると同時に「ありがたい」という気持ちでいっぱいです。ご来場いただいた皆様、バドさん、ありがとうございました!







この演奏会の前、少し時間があったのでマティアス氏を葛飾北斎の最期の作品が描かれた天井絵を持つ岩松院を訪れました。



北斎が亡くなる一年前、89歳の時の作品、鳳凰の天井絵です。本来お寺の天井絵といえば水の神様である龍を描くことが多いのに、巨匠は鳳凰を肉筆画で描きました。北斎は永遠の象徴である鳳凰を自分に例えたのかもしれません。天井絵はここだけにしかないそうです。どこからでも睨まれているような鳳凰の鋭い眼差しの周辺には凹凸があります。北斎がこの絵にしか使わなかった技法で、砕いた貝を絵の具の代わりに使い、光が斜めから当たるとまるで本物かのように立体的に顔が浮き上がるのです。そう、光を求め浮世絵を描き続けた北斎が最後にたどり着いたあたらしい光の世界が3Dの世界です。フランスの印象派の画家やドビュッシー北斎の作品から光のインスピレーションを得たと言われていますが、最後の最後に巨匠はそれを立体という新しいかたちをも成し遂げたというわけです。北斎の気持ちを感じる1枚、北斎そのものなのかなと思える大変に好きな作品です。

ところで、鳳凰、英語でいうところのフェニックスですが、東洋と西洋では考え方が違います。永遠の命を持つ不死鳥である鳳凰が東洋にあるのに対して、欧米のフェニックスは三百年に一度炎の中に飛び込み蘇るという伝説があります。面白い違いです。
その後、演奏会のお客様とこの話について興味深くおはなしさせていただきました。永遠と再生、まさに人間にとって究極のテーマ、それは小さな(個人の)エゴを捨てることこそがそれに近づける一番の方法だということを、マティアスとお客様で認識したところです。演奏も一緒「こうしよう」と思って演奏するのでは自分のエゴそのものを出していることになります。その先の「見えざる力=集中力、ゾーンに入る」といったとき、初めて大きな神の力のような演奏になるのでしょう、自然に演奏している状態、まるで師匠のような演奏かな。それを聞いたとき人は何かを感じるのかもしれません。難しいことだけれど出来るようになりたい。

話はゴロリと変わって、今日までの4日間は千葉県は館山に近い場所で、とある女子中高校の吹奏楽レッスン=合宿がありました。
顧問の先生が友人ということもあり、ここ5年ほどお付き合いがあります。その中でも特に印象に残る4日間でした。とても素直で明るくて、そしてのびのびとしているみんな。一人ひとりが技量も人間性もどんどん伸びる毎日、これほど楽しいことはありません。皆が優しく笑顔が溢れて、中高校5歳差をものともせず仲良くするその姿に感動すら覚えます。私だけでなく先生やお手伝いの大人達皆の気持ちをよくさせてくれた皆さん。特に学生指揮での演奏、指揮もどんどん良くなり、最終日には格段に良くなって愛情を感じるとっても優しい音がしていて思わずポロッとなりそうでした。音楽で一つになる、そのお手伝いが出来てとっても嬉しかったです。生徒の皆さん、ありがとう!

春の千葉、櫻と海がとてもきれいでした。










池袋で大雨に当たりましたが、無事に新幹線で名古屋へ。久々の大好きな深川めし弁当で移動です。




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