オーボエ奏者・藤井貴宏 オフィシャルブログ Grüß Gott aus Bayern!

音楽&ビールの街・ドイツはミュンヘンから、再びバイエルンの田舎にお引っ越し♪自然の中で生活しながら音楽や日々の話題を中心に掲載中です☆

コンチェルト in バイエルン


いかがお過ごしでしょうか?
こんなにゆったりとした気持ちで過ごしているのは今年2月以来かもしれません。長い長い緊張とスケジュールからようやく少し解放されています。

ミュンヘンも初雪が降ったりと、クリスマスに向けて徐々に冬に近づいています。
そんな中、先週末はバイエルン州の観光地でもあるプリーンとテーガンゼーで協奏曲を演奏させていただく機会がありました。

プロとアマチュアの混成(こちらではよくあるパターンです)でのオーケストラ。とはいえ、本当に地元のバリバリバイエルンっ子のみが集うオーケストラとの演奏、師匠のシェレンベルガー氏と住むことがなかったら到底お付き合いすることのなかった人達かもしれないと思うと、アジア人の私にソリストを務めさせてくださるだなんて「ありがたいなぁ」の一言です。

と、しみじみ思っていた金曜日の昼下がり、電話が・・・

「ハロー」と出ると、

「ハロー、タカヒロ、イョルク」

師匠からの電話。

「明日、コンチェルトだろ、新聞にも載ってるな!聞きに行くぞ」

あれ?メキシコのはずでは?と思いつつ、突然緊張度マックス状態に・・・
師の奏でるモーツァルトは本当に尊敬しているので、その師にまさか地元で聞いていただくとは・・・嬉しいけれど緊張が・・・



プリーンはキムゼ―と呼ばれる素敵な湖を持つ観光地でもあり、私が一番最初に住んだザハランクから一番近い都市でもあります。久々に散歩をして、キムゼ―と鳥たちに癒してもらいます(笑)





会場はルードヴィヒ2世の名を冠して作られた、その名もKoenig Ludwig Saal。そして街を挙げての大イベントということもあり、会場は超満員のお客様!






おまけにネットや、オーバーバイエルン州の新聞にデカデカと下のような写真付きの記事まで掲載、ありがた嬉しいですが、とにかく師匠の前でモーツァルトを吹くという緊張が勝ります。




これまた一番オーボエが大活躍&タフなブランデンブルク協奏曲の第1番を先ず演奏。いつもながら汗をかきかき、いよいよモーツァルトの協奏曲。体力と集中力が必要なプログラムでしたが、自分としては良い演奏ができた気がします。師匠が常に言い、この3月のデュオでも再三注意された「静かに、そして優しく」ということが、演奏の中で初めて理解することが出来ました。師匠の素晴らしさ、それは頑張ることなく、見せびらかさずに、己の音楽を丁寧に紡ぐことのみに集中することなのかもしれません。その時に必要なのが歌うこと、おなかの支え、なるほど、確かに。そしてリードは決して頑張るようなものではなく、ということ、全てが「なるほど!」と思えた時間でした。お客様からもとても沢山の拍手とブラボーをいただいて一安心。

演奏後、早速に師匠と奥さんの大ハーピストのマルギットが駆けつけてくれました。開口一番

「素晴らしかったぞ!良い演奏だった!」

と二人に言ってもらえた時は本当にうれしかったです。
嘘は絶対につかない辛口の2人、素直にありがたいお言葉を受け取りました。
(完ぺきとは言えず、ミスもありました。)

そして

「次のデュオの予定、早くたてるぞ」

との一言。
ドイツに来てから8年、3月の師との演奏会、そして今回のコンチェルトでようやく一つ見えてきたようです。一歩でも師匠に近づけるよう精進あるのみ。次回の共演に向けてさらに深められればと思います。

休憩に顔を出してくれた2人と記念撮影。この2人の笑顔を演奏後に先ず見たときはどれだけ安心したことか(笑)師匠は私にとって尊敬する人でもあり近しい人でもありますが、同時にある種の恐怖でもあるわけです。。でもそれでちょうどよいのかなと思っています。

忙しい中駆けつけてくれた2人に心からの感謝です!




休憩後はチェロ協奏曲のオケ中で演奏、そしてアンコールではこれまた長い曲で、オーボエとチェロの為の協奏曲を演奏するという、私にとっては盛沢山の演奏会でした。お客様からたくさんの嬉しいお言葉をいただいた中で、ある紳士が「モーツァルトを聞いて本当に体調がよくなったよ!とっても良い気分だよ、ありがとう!」とおっしゃってくださいました。モーツアルトさんに感謝です。(ちなみにこのあたり、モーツァルトはしばしばヨーロッパ旅行へ出かける際、通っていた場所でもあります)

続いて2日目。
今回は2公演とも少年と奥さんが聴きにきてくれました。小さな界隈、少年も何度も訪れているのでちょっとした有名人(笑)ちゃんとバイエリッシュで受け答えしてるから大したもの、少年から発音を直されることはしばしば。そんな少年も鼻歌でモーツァルトのコンチェルトを歌いまくるほど、この曲が好きだそうで嬉しい限り。

午前中は移動だったので大好きな電車を見ながら、乗りながらゆったりと過ごしました。




演奏会の時にいただいた花束がとっても素敵!!
お家に飾っても素敵な秋のようなクリスマスのような雰囲気を漂わせてくれています。





テーガンゼーではとても響きがマットな厳しいステージ条件でしたが、これがむしろ私にもオーケストラにも幸いして、前日以上に聴き合うことが出来より良い演奏になりました。そしてドイツ人(オーストリア人)ばかりの団体、全員がやはりガシガシひかないし吹かない、とにかく柔らかいし変に目立とうという人がいないのです。録音を聞いても不思議と疲れない音をみなさん出すのです。なぜだろう・・・。でもこれがモーツァルトなのかな、と師匠の言葉とリンクしてあたらためて勉強させてもらいました。それはプロもアマチュアも関係ない、人が出す音についてです。不思議・・・。


素晴らしい体験をさせていただいた皆さんに心から感謝。次に会うときにさらに喜んでもらえるように演奏していきたいと思います。


帰るころにはご覧の通りの雪に。演奏会のあとは電車に乗りそびれまいと、家族三人で静かなテーガンゼーの街を大疾走したのは思い出です(笑)




今週末はブラームスのドイツレクイエム、素晴らしい指揮者との演奏会、きっとまた沢山お勉強させてもらえるはず!明日からはどっぷりつかりたいと思います。




*ホームページが新しくなりました!
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