オーボエ奏者・藤井貴宏 オフィシャルブログ Grüß Gott aus Bayern!

音楽&ビールの街・ドイツはミュンヘンから、再びバイエルンの田舎にお引っ越し♪自然の中で生活しながら音楽や日々の話題を中心に掲載中です☆

Aus Tokio!



久々の投稿は東京から。
今日の東京は本当に寒かったです!朝から雪が舞い、昼過ぎまでとても冷えてびっくり。風邪やインフルエンザが流行っているとのこと、皆様もどうぞお気をつけください!マスク嫌いの藤井もマスク着用で予防に励んでおります。

本日夜は東京文化会館でのシェレンベルガー師匠の演奏会に行ってまいりました。演奏会前は元バイエルン放送交響楽団のヴァイオリン奏者で、現在は兵庫芸術文化センターのアドヴァイザーもされている水島愛子さんにお時間を作っていただき、懐かしの上野にて生ハムと赤ワインとともに貴重なお話を沢山お聞かせさせていただきました。一つのオーケストラを35年続けられたその歴史やドイツでの出来事など、興味深いお話ばかり。それにしても、何故日本のお店の多くが赤ワインを冷たくしてしまうのでしょうか^_^;先週からの我々の謎です(笑)


さてさて、演奏会。
師匠がセレクトして『大変すぎる!』先週から豪語していたプログラム。。バッハのトリオソナタ三曲に、ホリガーの無伴奏ソナタ、そして音楽の捧げ物からのトリオソナタ!!!どう考えても凄まじい体力、そして音楽性が要求される曲ばかり。ヴァイオリンは堀米ゆず子さん、チェロは芸大時代に一緒だった山本徹くん、そしてチェンバロは中野振一郎さんというメンバー。


『自然に音楽が流れる』


これが一番の感想でしょうか。
決して『わざと』と音楽を奏していない、ある意味地味でもある感じ、でもこれが音楽なのだと思いました。特にホリガーの無伴奏、技術的に大変に難しいのですが、それをフレーズとして捉える。その結果難しいパッセージがさらに速いテンポで展開されてみたり、アーテュキレーションの発見があったり、とにかく自然に聞こえてくる。さすが師匠でした、見せびらかすことは全くしない。。。
それはトリオソナタでも同じ。
終始自然な時間を紡ぎだしていた四人、素晴らしかったです!!


そのまま長野に行こうかと思っていましたが、流れで師匠、ゆず子さん、愛子さん他というなんとも豪華な皆様とご飯へ行くことに。。30年前のヨーロッパの音楽会の話が矢継ぎ早に。。ベームが、クライバーが、バレンボイムが、とか。へー、と思う話ばかりでちょっと文字に起こすのが大変(笑)ゆず子さんは初めてお会いしましたが気さくな方でとても素敵なお方。またお話聞ける機会があると良いなと思った次第です^_^



話は変わりますが年明けはオーストリアのチロル音楽祭に参加させていただいていました。巨匠グスタフクーンが監督を務めています。今回はそのメイン演奏会に参加させていただいたのですが.....
とにかく怖い!!!
クーン氏がメチャクチャ厳しいのです、音楽の要求が。。チャイコフスキーの悲壮、ダイナミクスがppppからfffまであるわけですが、それを忠実にされるのです。こんなに??というくらい弱いクラリネットファゴットエスプレッシーボとドルチェで表現しまくる指揮、でもピアノで弾け!と怒鳴られるヴァイオリン。バイエルン放送交響楽団の元コンマス他三人のコンマスを一人ずつ弾かせて注文をつけるなとなど、挙げたらきりがありません。しかしこんなに指揮者の要求が飛ぶ、そしてギリギリまで練習が続けられることはそうはありません。一つの本番に練習が5日!!!すごい。。でもそれらが的をついていて、まさに音楽の真髄ともいうべきもので本当に感動し勉強しました。チャイコフスキーのアイドルはモーツァルトだった、この答えが本当によくわかりました。


師匠が尊敬する指揮者、納得。
今回よんでいただいて本当に良かった!
オーケストラ、また沢山やりたくなりました(笑)












その後、すぐに日本へ。
久々にフィンランドを経由しましたが、ラウンジで発見!!





わぁーお、食器が全部マリメッコ!!かなり可愛くおしゃれ。ご飯もなかなか美味しかったです、おすすめ!


今回の日本滞在の1番の目当ては阪神淡路大震災から20周年の記念演奏会に出演すること。








1月17日。


1995.1.17忘れもしません。
当時中学一年生。長野に住んでいた私ですが、早朝なぜか飛び起きて寝ぼけて自分の部屋の窓をダーっと開け放ったの覚えています。今になって思えば、ただなるものを感じたのかもしれません。居間に降りてテレビをつけるととんでもない光景が映し出されていました。「うそでしょ?」これが率直な感想でした。時が経つにつれて事の重大さに気づかされました。


そして2005年4月25日、またしても兵庫で悲惨すぎる福知山線脱線事故が起きました。その日、寝坊した私。普段はつけないテレビをなんとなくOnにすると、信じられない映像が映し出されていました。まるで震災の時と同じような感覚。その年はちょうど兵庫県立芸術文化センターが開館する年、そして同時にできる兵庫芸術文化センター管弦楽団への入団決定の通知を受けた直後でした。これから自分が住むであろう近くの場所で起きた痛ましい事故、「どうしてこんなに兵庫で・・・」と阪神淡路大震災の記憶を重ね合わせたのでした。


この記念すべき日に古巣の兵庫芸祷文化センター管弦楽団で、一期生はじめたくさんの卒業生、佐渡さん、私と同じミュンヘンにお住いの水島さん、そして師匠のシェレンベルガー氏とマーラーの復活を演奏するステージに居られたことが本当にうれしく、とても感慨深く、深い感謝の念を抱きました。変な言い方かもしれませんが、今自分があるのは震災があったから、これは事実です。犠牲になられた沢山の方のお気持ちを常に思いながら、これから一生音楽活動をしていかなくてはならない、その気持ちを改めて思った一日、沢山の魂と気持ちを忘れてはならない、そのことを強く強く思いました。


3日間の演奏会、お客様、そしてステージにいる全員が何か一つの気持ちに集まったそんな心に残る演奏会だったと思います。特に合唱のエネルギー、お気持ち、強く強く感じました。私がオーケストラに在籍していた当時から応援していただいて居る皆さん、そしてお客様ともご一緒できたこと、感無量でした。


気づけば、妹は結婚して兵庫に、そしてもう一人の妹も大阪に住んでいます。関西とは無縁だった兄弟、三人がこうして関西とかかわりを持たせていただいていることにも不思議な縁を感じ、ありがたいなと思うのです。


阪神淡路大震災、そして東日本震災で犠牲になられた方のご冥福を心からお祈りし、まだ道半ばの兵庫の復興そして東北の復興を願うばかりです。


3日目の演奏が終わりオーケストラが立った時、隣で師匠が白いハンカチを目頭にあてていたのがとても印象的でした。。。


巨匠であるシェレンベルガー、それが突然の彼の招きで同居にはじまり、何かの縁でこんなにまで面倒をみてもらい、ずっと気にしてくれるイョルク、本当に本当に感謝です。今回も何度お礼を言ったことか。未だに訳が解らない時がありますが、これは運命と思ってとにかく精進するのみです。
頑張りたいと思います!





そしてこの縁ができるきっかけを作ってくれたのは紛れもなく佐渡さん!





まだ24歳、そして海外経験もないの外国人ばかりのセクションに私をオーディション
選んでくださりました。あれから10年。恩返し出来ているのかな、と反省もします。でも毎公演後グッドサインを出してくださり、そして最後には『ありなとな』と。
まだ達成しなくていけないことがありますが、ちょっとだけ恩返しできたのかな!?
佐渡さん、頑張ります!!!




さて、明日から次に向けて頑張るぞー!
今年は飛躍の年にするしかありません!(←と言い聞かせています)


来月は久々のベルリン、そしてザールブリュッケンなど。また報告させていただきます。





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