オーボエ奏者・藤井貴宏 オフィシャルブログ Grüß Gott aus Bayern!

音楽&ビールの街・ドイツはミュンヘンから、再びバイエルンの田舎にお引っ越し♪自然の中で生活しながら音楽や日々の話題を中心に掲載中です☆

涙が溢れました…

先ほどまで長野に滞在、綺麗に晴れ渡り素晴らしい天気に恵まれています。しかし九州では豪雨だとニュースで流れています…これ以上の被害が出ないことを願っています。


題名が心配な感じですが、大したことのないちょっとした出来事ですので期待して読まないでくださいね。


先ほど、長野駅前での出来事です。素敵な出で立ちをした70歳くらいの男性が話しかけてこられました。
「失礼しますがね、この時刻のバスはもう行ってしまいましたか?」
残念ながら10分前以上に出発していたのですが、運よくすぐに次のバスが来ることになっていたので教えて差し上げました。長野市内を廻るし巡回バス、気になったので行き先を訪ねてみました。
すると
「山王小学校か県庁前で降りようと思っていてね。裾花川に行きたいんですよ」と答えられました。

続けてお話をされます、

「いやね、今は東京柴又に住んでいるけれど子供のころ長野にすんでいましてね、よく裾花川沿いで遊んだんですよ。残念ながら長野市内はそんなに見るところが無いじゃないですか、それならせっかくだから川沿いを歩いて昔を思い出しながらゆっくりしたいなと考えているんですよ」

素敵ですね!天気も素晴らしいし、きっと良いですよ、と言うと、

「ほんとにね、よかったよ!ここに書いてある山王小学校なんて僕の出身学校なんだけど、ん〜、長野駅前も昔の面影が全然なくなってしまってね。もう80年になりますか…」

はっ?80年!?
思わずびっくりしてお聞きすると

「私は90になりましてね」

えっ??
本当に驚くくらいにシャキッとされてカッコよくジャケットを着こなし、会話をしてもまるで私と変わらない滑らかさと反応、ちょっと信じられませんでした…

「だからね、せっかく長野に来たしもう来るのも最後かもしれないから、昔を思い出したいなと思ってね…」

優しい眼差しで語られます、

「凄い荷物だね、どうしたの?」

音楽の仕事をしていて、楽器を吹いて、と素性を語ると

「忙しそうだね!でもいいじゃない。人生ねやりたいことをやって、大変でもねその方が幸せだよ。私はねやりたくない仕事を生活の為にして、それはお金を稼がなければいけなかったしそういう面では困らなくて済んだけれど、つまらなかったよ。今でこそ自由な時間があるけれどね。若い頃は戦争で…」

と、ここでバスが到着、

「いやぁ、ご丁寧にいろいろとありがとう、頑張ってくださいね!」

と素敵な笑顔でひょいとバスに乗り込み、手を振って出発されました。


私も間もなく交通機関で長野をあとにしたのですが、最初にじーんとした暖かい気持ちで「素敵な会話をしていただいたな」と、しかしその後おにぎりを食べようとしたとき、何故か涙がボロボロ溢れてくるんです。何かよくわからないけれど、悲しいとも嬉しいともわからない涙。感動、とはこういうものなのでしょうか…心から「素敵な時間を過ごして欲しい」と思います。そして日々楽しいことだけではない自分の仕事、やっぱり辛いことだってあります、うまくいかないことだってあります、でも好きなことで仕事をさせていただいているのは間違いありません。彼の励ましに心から頑張ろうと思いましたし、お世話になっている、自分のお知り合いの皆さんに改めて感謝した瞬間でした。

お名前聞くの忘れちゃったな。。。