オーラ
オーラ=「人や物が発する微妙な雰囲気」
と出てきます。
なるほど、確かに。「微妙」というのがポイントでしょうか。
生の演奏は面白いもので、このオーラ=雰囲気を媒体から流れる音楽に比べると格段に感じられるものです。アマチュアの学生さんでさえそれは伴うもの。しかしそれを醸し出して演奏するには、練習はもちろん、楽譜の読み込みや感性感情、そしてそれをアウトプットしていく力も伴います。
最近若いことお付き合いするとよく思うこと、「人に伝える」力が落ちているのかもしれない、ということ。現代は例えば「ありがとう」の気持ちをラインのスタンプで気持ちを伝えたり読み取ったり、というのは割と普通ではないでしょうか。対して昔は一つの「ありがとう」を伝える為に手紙を字体や言葉遣いを考えながら書いたり、電話一本するにも相手方の状況や時間帯など、相手を想いながらしました。この何気ない普段の「想像力と思いやり」こそがより深い表現に繋がっていくような気がします。
ドイツ語で「表現」を表す言葉「ausdruck」=「外へ押し出す」の意味があります。古風かもしれませんが、手紙を書いたり、直接人に会って話をしたりするのはとても大事なことではないでしょうか。
そんな中、昨晩はいつもお付き合いくださる、昨年まで東京大学理事兼副学長を務められ、現在は同大学の名誉教授の南風原朝和先生と秘書の田尻さんとお会いさせていただき、たくさんのお話をお聞かせいただきました。正に「オーラ」を発せられる先生。決して偉そうにすることはなく、しかしどっしりとした振る舞いと雰囲気から話される内容は、難しい内容でもとても分かりやすい話し方、そして絶妙なトーンでお話になります。全てお見通し、といいましょうか、お話をされている先生の姿を見ているだけで本当に勉強させていただいています。オーラ、そしてアウトプットが完璧な先生。
今は来年の大学試験の英語問題について、思慮深いお考えで奮闘されています。一番良い形に成っていくことを切に願っております。
そんな先生をこれまた絶妙に支えておられる秘書の田尻さん、細やかな気遣い、参考にしたいと思っているお姉様です。南風原先生と偶然に一緒の会に居合わせることができたご縁から、東大にお邪魔したところ、なんと田尻さんが中学生の時にオーボエが大好きで、その音源が師匠の演奏というからびっくり。人の縁は本当に不思議です。南風原先生、田尻さん、いつも本当にありがとうございます。
今日から日本で久々に演奏するクリスマスオラトリオの練習が始まります。時間があったので運動がてら巣鴨から大久保までお散歩。日本に来ると怠けがちになるのは良くないな…普段電車や車から見る景色を歩きながら見るのは新鮮です。